この本は、いつもいつも読む度に、最後のページになるとどうしても涙が出てきてしまいます。生きているものは全て年をとっていくものだとは分かっているのですが、ましてや、この本は、おじいちゃんとぼくの関係なので、結果はなんとなく最初から暗示されているのだけれども、あまりにもおじいちゃんとの時間が心温まるものすぎて、最後に涙が出てしまいます。
おじいちゃんは別に、ぼくに何かを直に教えてくれたわけではなく、たった一言、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と言っているだけなのに、その言葉が、ぼくがこれから生きて行く上で大切なこと、それが安心だったり信頼だったりを、いつもそばにいてくれることで教えてくれたんですよね。
私も、自分の息子にとってそういう存在でいられたのかしら?と、胸に手を当てて考えてしまいます。
多分、私自身の父とダブるのかもしれません。常に、孫である私の息子の為に、この話と同じようによりそってくれていました。そして、その父も確実に老いているので、それがダブるのかもしれません。
私は、いとうひろしさんが、おじいちゃんの言葉が心の糧になったところで話を終えず、おじいちゃんの老いまで描かれているところに、この話のすごさが詰まっているような気がしてなりません。小さい子向けの絵本だったら、おじいちゃんのその言葉で社会に適用していったで終わってもよいような気がするのに、最後におじいちゃんの行く末まで描いているところが、容赦がないこと、そしてそれが現実であることを突き付けられているようで苦しくなるのです。
でも、敢えてそこを描き、おじいちゃんが自分がもっと小さい時にに寄り添ってくれたように、ぼくが今はおじいちゃんに寄り添っているところがいいのかもしれません。
大切なことを伝えてくれている本だなと心から思います。