王さまが跡継ぎを選ぶために、三人のおひめさまに、「7日7晩のうちに、跡継ぎにふさわしいことをなしとげよ」という課題を与えます。
これまでのおとぎ話だと、二人の意地悪な姉たちは失敗し、かしこい末っ子の娘が成功するというパターンが定番です。おまけに王子さままで出てきて助けてくれるというおまけつきのこともあります。
でも、このお話の主人公のセレニティ姫は、ちいさくて、はずかしがり屋で、ふつうの女の子でした。
だから、コツコツとタネを植え、木や草花を育てるのです。おきさきさまの残した宝物のチカラを借りながら、自分の手で土を掘り、タネを植えていくのです。そしていつのまにか、たくさんの人が手伝うようになっていくのでした。
「土」を自分の手で掘っていく場面からは、土のにおいがします。土のにおいがするおひめさまは、今までいませんでした。自らが動くことによって、人の心を動かしていく、新しいタイプのおひめさまです。素敵ですよね。
たいていのおとぎ話では、二人の姉は痛い目にあうのですが、このお話では、三人がナイチンゲールの歌声に耳を傾けているシーンで終わります。それも裸足で草の上に横になって聴いています。
三人で仲良くやっていけるようなきがしますよね。
色遣いがとても美しい本です。
この本を読んでから、子どもたちと一緒に植物を育てて見たいですね。