絵本と詩は相性がいい。
散文でなく、絵で多くの語り、言葉がそれに風のように撫ぜていく。
だから、詩人の谷川俊太郎さんが絵本の制作にたくさん関わっているのもわかる気がする。
絵は言葉のじゃまをせず、言葉は絵をぼやけさせない。
どちらがお兄さんでも、どちらが弟でもない。
手をつないだ仲良し。
この絵本もそうだけど、谷川さんの詩がとってもいい。
だから、私はまず詩を読んだ。
「まずはじめに じめんをかく」で始まる、詩を読んだ。
それから、次は長新太さんの絵だけ見た。
緑のまっすぐな線の絵を、まず見た。
「じめん」という言葉と「緑のまっすぐな線」という絵。
最後にふたつ一緒に、絵本として読んでみた。
とっても素敵だった。
谷川さんの詩がすごいところが、「じめん」から始まって、「ひとりのこども」をかきはじめるのまで、とってもたくさんの「え」があるということ。
大きな地球にあって、「ひとりのこども」は小さいけれど、そこから始まる家とか家族とか、あるいは夢とか死とか(この絵本には死もちゃんと描かれている)があって、それはそれでとっても大きくて大事なことだと教えてくれる。
「白い紙をみつめていると」と、谷川さんはいいます。
「すべてがそこから生まれてくるような気がします」と。
一篇の詩から、ひとつの絵からも、すべてが生まれてくることもある。
これは魔法のような絵本です。