1969年刊行。砂浜〜深海の海溝まで、順番に辿っていき、そこにいる生き物と人間の営みを同時に紹介する学習絵本。
海の図鑑と、社会科の資料集が合体したような、総合的な視点が新鮮だった。子どもが理解できるように、見やすくなっており、生き物にはそれぞれ名前も書いてあり、位置や距離感がわかる立体的な構図。よく考えられている画面だ。ずっと見ていると、いろいろな発見があり、面白い。子どもがストレスがなく、楽しく勉強できるように工夫されている。
それにしても、人間の活動は主に「漁」「油田開発」など、海の資源をとる行為ばかり。海洋調査、運送などもあるが、なんだか、一方的にもらうばっかりだ。海の生き物にしては、勝手にやってきて、勝手に仲間を連れ去っていくわけだから、大迷惑だろう。
人間も生活があるから、どうにか海の住人たちとうまく折り合いをつけて、調和のとれた暮らしをしていきたい。生き物が元気で幸せな世界を作りたい。
海は地球の一部であり、自分たちが住んでいる陸地との繋がりがあるとわかる。地球のでこぼこの様子がいっぺんにわかるので、便利な絵本だ。大人が読んでも十分楽しめる。
巻末に筆者の解説などがあるが、本当に1冊の絵本を作るためにたくさんの努力があったことがわかり、頭が下がる。子どもたち(読者)に良いものを提供しようという真心と、物事をしっかりやり遂げようという強い意志が尊い。
いろんな意味で教えられる絵本だ。