本屋さんの本棚から突き出るようにして立てかけられていた
大きな大きな絵本。
手にとって読んだら、胸がいっぱいになりました。
ページをめくる度に広がる、
何気ない日常に輝く、愛おしいものたちで満たされたこの世界。
これといったストーリーはありません。
ページ毎にいろんな子ども、大人、お年寄りが自然に抗わず、淡々と日常生活を送っているだけ。
でもそれがとても愛おしく感じるのです。
「この世界いっぱい」から始まる、
繰り返される印象的なフレーズと
匂いや温度、自然のざわめき、楽しげな声や歌まで聞こえてくるような雄弁な絵が、
読む人ひとりひとりに「私だけの物語」を思い出させてくれるように思います。
私は最後、鼻がツーンとしてしまいました。
訳は詩人の長田弘さん。
研ぎ澄まされた言葉が、風に乗って運ばれてきたように絵の中に書き込まれ、
優しくて力強いメッセージを届けてくれます。
大人の方に特におすすめします。
子ども達にはまだ深いところまでは伝わらないかもしれないけれど、
彼らの感性でこの世界を味わってほしいなぁと思います。