「こんはあかちゃんをまっていました。おばあちゃんに頼まれて、さきゅうまちからやってきたのです。」
の文章から始まる。なんだろ?って思いました。
『こん』は、おばあちゃんが作ったきつねのぬいぐるみ。そして、『あき』は、生まれてきた赤ちゃんの名前。
『こん』と『あき』は、一緒に成長していき、『あき』は大きくなり、そして、『こん』は古くなっていく。
そして、ある時、やぶれて、ほころびができ、それをなおしてもらいに、電車に乗って、2人でさきゅうまちのおばあちゃんのところに出かけるのです。
『こん』は、おばあちゃんの作ったぬいぐるみ、でも、『あき』のお兄ちゃんなの。
「あきちゃん、ついてきて。」「あとはずっと座っていれば、つくからね。」と『あき』を思いやる言葉が、まさに、妹を思うお兄ちゃんそのもので、かわいらしい。
『こん』は、お弁当を買いにホームにおりて、電車に乗り遅れそうになって、ドアにしっぽをはさまれたり、砂丘で、犬にさらわれて埋められてしまったり...
でも、「だいじょうぶ、だいじょうぶ。」どんなことがあっても、「だいじょうぶ、だいじょうぶ。」
この『こん』の「だいじょうぶ、だいじょうぶ」が、かわいくて、けなげで、ほろりときます。
そして、電車のドアにはさまれてつぶれてしまったしっぽに、包帯を巻いてくれる車掌さん、こういうのもいいよね。
『こん』と『あき』は、大旅行を終え、さきゅうまちのおばあちゃんちで、無事、ほころびを治してもらった『こん』。おふろにも入って、きれいで元気な『こん』にもどるのです。
あぁ、よかった。最初から最後まで、暖かさにつつまれたような絵本。
林明子さんのファンって多いと思うけど、私が林さんのファンになったきっかけは、この本でした。