どこにもいけない、どこにもいかない樹。
ちっぽけな種が生まれ、発芽し、
根を張り、生きていく様子を描いています。
生きていく過程で、
樹はほかの生き物と助け合い、
ほかの木々と支え合って成長します。
やがて樹は、その枝葉を
ほかの生き物の住処として提供することで
ほかの生き物を育てていくのです。
与えられた場所から動くこともせず、
与えられた場所で精一杯生きていく。
そんな樹の様子を詠み進めていくと、
人の一生にも通ずるものがあると感じます。
自分の根を張りなさい。
自分を助けてくれるものを助け、
自分を支えてくれるものを支えなさい。
そして自分をたっぷりと誰かに提供しなさい。
母親としての自分を、
今一度顧みたくなる絵本です。