ホフマンの描く絵本たちには、様々な形ではあるけれど、どれも愛を感じずにはいられません。
ラプンツェルは、その中でも私が最も切なく苦しいほどの愛を感じた、とっておきの一冊です。
「残酷」とも思われるような表現があるのも確かです。
けれども、闇があるからこそそこに光が射すように、この残酷さこそが、この本で描かれた愛を、より強く美しく見せているのではないでしょうか。
瀬田さんもホフマンも、この絵本中、その闇の部分をかなり色濃く映し出しているように感じます。
ですから、ここまでのものを、子どもに見せるのは!という方が多いということにも、納得いきます。
でも、私はきっと、子どもにもこの絵本を与えます。
だって、子どもにその残酷な部分を見せることの、何がいけないのでしょう。
辛いこと、悲しいことからは、どうしたって逃れられません。
どんなにもがいてみたところで、より深く沈んでいくばかりです。
その恐ろしいものたちと、空想のお話の中ですら、子どもに向き合わせないだなんて。
それは子どもにとって、本当にいい選択といえるものなのでしょうか。
絵本とは、現実とは違う夢の世界に、私たちを連れて行ってくれるものではないでしょうか。
そしてそれは、必ずもとの世界に帰って来られるという、絶対安全保障付きのものなのです。
ぜひ、沢山の夢の旅を、子どもにはさせてあげたいと、私は願っています。