2007年に発行された、モンゴルの庶民の暮らしを紹介してくれる写真絵本。首都:ウランバートルと遊牧民の暮らす草原、都市部の集合住と遊牧民のゲル(テント)。モンゴルには2つの暮らしがあって、それぞれを行ったりきたりする人もあるという。
長年、遊牧生活をしてきたので、家畜と一緒に暮らす知恵がたくさん残っている。小さいこどももすすんで大人の仕事を手伝って、羊の世話をしたり、家事を手伝ったりしてたくましい。子どもが活躍する場面が多く、ナーダムと呼ばれる祭りでは、競馬の騎手が子ども。5〜13才くらいの子どもが大草原を馬で疾走する姿は勇壮だ。
相撲ではモンゴル人力士が活躍して久しいが、かの地にも相撲があり、日本のものとずいぶん違う雰囲気だ。いろいろな人の顔が、人気力士の顔ににていて、同じ民族なのだとよくわかる。いったこともない大陸の、ずいぶん文化も生活も違う人々なのに、なぜか親近感をとっても感じるのは、相撲の効果だけではない気がしてきた。
一番違いを感じたのは、食文化。畜産が盛んなので、肉が多い。野菜や果物は中国などから輸入しているとか。
似たような外見なのに、食事がずいぶん違うけど、モンゴル人は元気にやっている。肉や乳製品が多くて大丈夫かな?と思ってしまったが、気候風土にあった暮らしの知恵でもってみんな元気に生き抜いているようだ。
家畜を殺して、お客さんをご馳走でもてなすので、生き物が肉になる場面もある。こういう場面をむやみに残酷だといって子どもに見せない親もあるようだが、モンゴルでは小さい子どもも生まれたときから生活のなかで自然に動物の世話をし、殺し、食べている。
生きるためには、生き物の命を奪い、食べる。それがあたりまえのこととして受け入れ、たくましく育っている。
生き物と暮らすことで、生活力がつき、知恵もつく。こういう体験をしてみたいな、と思った。
巻末には国の歴史、概要、地図などがあり、しっかりとした内容。
小学校高学年〜中学生を想定した本だというが、大人でも読み応えがある内容。