兄弟があるとき、空き家になってしまった家の庭に穴をみつけます。石を落として深さを測ってみたり、長い竹を突っ込んでみたりしますが、けっこう深い穴なのです。
この話は、ふつうにほのぼのした感じではじまるのですが、途中からだんだん不安になってきます。日常が何か異常なものに侵食されていくんではないかという不安とでもいいましょうか。昔こどものころ、くずれかけた一軒やの中を覗いて見てはいけないものを見たようなそんな感じに襲われます。子ども達は解決のない穴の秘密に宙ぶらりんになったままの不気味な体験をするにちがいありません。