猫の事務所、事務長は大きな黒猫。部下の一番書記は白猫、二番書記は虎猫、三番書記は三毛猫、そして四番書記は竃猫。
書記はどの猫も就きたがるあこがれの職業で、竃猫は一生懸命に職務に取り組みます。仕事ぶりは立派で、他の猫たちとも仲良くしたいと思っています。なのに何をしても間が悪かったり、どういう訳か空回り、どころか逆効果。ほかの猫たちは、竃猫がいつもすすで汚れているという外見上の理由で、竃猫のことを心底嫌っているようです。
事務所長は当初、大きなもめ事にならないように、話題をそらしたり、仲裁に入ったり、なんとかその場を収めてくれていたのですが、果てには竃猫が職場を休んだ日に、あらぬことを事務長に告げ口されて、事務長の機嫌まで損ねてしまいます。もう八方塞がり。体調が回復して翌日に出勤しても竃猫の居場所はどこにもありません。
猫たちの仕事も宮沢賢治らしい言い回しで役に立つ大事な仕事であるような、無いような・・・。獅子に解散を命じられ、事務所はいきなり廃止になるのですが、竃猫の悲しみは果たして癒されるのか?ハッピーエンドでないだけに、いろいろなとらえ方があるのでしょうが、子どもたちはこのお話を聞いてどんな風に感じるでしょうか?