これは少し足りないとされている虔十の話。
温かく素朴な雰囲気の絵がストーリーに合っています。
特に実直で無邪気な感じの人々の表情がいい味を醸し出しています。
よく建築資材として使われ、結構な樹高になる杉ですが、
虔十が一生懸命に植えた杉は高さ3メートルくらい。
常識だと何にも使えない杉林ということになるでしょう。
しかし、最初虔十が意図したものではないにせよ、普通の杉林では絶対に出せない価値が、この杉林に出てくるのです。
未来を担うさまざまな子どもたちを育む遊び場として。
これは虔十が少し足りないからこそ、誰に何をいわれようと、常識を取り払って強く純粋にひたむきに取り組んできたから、できたことではないでしょうか。
「たれがかしこくたれが賢くないかはわかりません」。本当ですね。
虔十の実直さやひたむきさが、杉のまっすぐなところと重ね合わせることができると思いました。
4歳の息子と読みました。
彼は方言がよくわからなかったみたいですが、
このような日本語も身体に感じてほしいと思いました。
また、虔十の、純粋でひたむきさ故の強さも感じてほしいです。
印象的な絵本です。