たなばたにまつわるお話はいろいろあるのですが、哀しいお話が多いように思っていました。
このたなばた話は初めてなのですが、どこかきいたことのあるお話がいくつか重なっているようにも思え、民話としてはとてもまろやかなお話かと思います。
天女が水浴びをしているところに行き合わせたいぬかいさんは一人の天女の羽衣を隠してしまいます。
羽衣を隠しておいてお嫁さんにするというのですから、あまり良い人ではないようにも思うのですが、天女のたなばたさんの心のやさしさ、二人は結婚して子どもまで生まれました。
羽衣を隠されていることを知ったたなばたさんは、子どもたちと天に帰ってしまいますが、いぬかいさんが天まで来られる方法を書きのこします。
千足のわらじを作らねばならない話が、一足不足のまま天に登って行ったり、危なげないぬかいさんですが、天ではまた夫婦子どもはまた中睦まじく過ごします。
ウリを縦に切ってしまったばかりに天の川が生まれたとか、いのかいさんとたなばたさんが星になったとか、牽牛と織り姫になったとか、七夕伝説になっていきますが、絵をみていたらすべてを許せるようなホンワリした良い気持ちになりました。