ネコがテントウムシを追いかけているうちに、とてつもないエネルギー、きいろに遭遇します。ネコはきいろを無視できない。ちょっかいをかけてくるから。こちらからも追いかけたり、けっちらかしたりと、もう無茶苦茶!パワフル、エネルギッシュ・・・、そんな絵本です。でも、この絵をそんな言葉に押しとどめていいのか?という思いもでてくる とても勢いがある絵本です。そして、ネコの群青色ときいろの黄色がきれいです。
自分を取り巻く、或いは自分の中にある制御できない とてつもないエネルギーの塊、きいろに翻弄されているオレは、まるで思春期の男の子のよう。そして、暴れたり、走ったり無茶苦茶した後で、さっと訪れる着地点。暴発とも思えるものすごいエネルギーも、時が来て 場を得たら、こんな風に違う形で結実するのだ、と最後、私の心もすーっと落ち着きました。前の見返しの真っ黒な木が、最後、きいろで満たされます。きいろは いのちの象徴のようにも思えます。
長く読み継がれている絵本とは まったく違うタイプで、好き嫌いがあると思いますが、良かったです。 2015年、ブラティスラヴァ世界絵本原画ビエンナーレ(BIB)で「金のりんご賞」受賞作品。