主人公は、一本のろうそくです。
物語は、生まれたばかりの女の赤ちゃんのため、そのろうそくに火をともされることから始まります。
最初は、赤ちゃんのしあわせを照らすため。それがいつしか、赤ちゃんだった少女の不安や心配を和らげるために照らすようになり、その後は大人になった女性のしあわせを照らすようになります。
ろうそくは自分の立場からしかものを見ないようで、勝手に不安になったり寂しくなったりします。自分自身が、成長してゆく女の子のよりどころになっていることを知りません。
でも、それでいいのかもしれません。
だって、今生きている私たちも自分のことに一生懸命で、自分が誰かのよりどころになっているかもしれないことには、気づいていませんから。