この絵本のもとになっている谷川俊太郎さんの「おならうた」は1981年に刊行された『わらべうた』に収録された詩で、ふざけているようなタイトルですが、ちゃんと岩波文庫の『自選 谷川俊太郎詩集』にも収録されている、りっぱな作品です。
この絵本で原詩とあるように、谷川さんの詩は八行詩、つまり八つの「おなら」がうたわれているのですが、それに三つの「おなら」をつけたのは絵を描いた飯野和好さんです。
谷川さんの詩そのものが、ふざけているようで、そこに言葉のリズムが躍動しているように、飯野さんの絵もとても生き生きとしています。
飯野さんの絵はかわいい系とか美しい系とは全然違いますが、絵そのものにライブ感を感じます。
飯野さんの絵に出て来る大人も子供もなんだか怖くてきたなくてありえないのですが、それでいてそんな人は必ずどこかにいるような感じがします。
そして、何よりも、それは谷川さんもそうなのですが、書いて(描いて)いる本人たちが一番楽しんでいるような気がします。
私が好きな「おなら」は「りっぱに べ」。
これは飯野さんが書いた「おなら」で、卒業証書らしきものをもった子どもに駆けよる造り酒屋のおかみさんの姿を描いています。
今どきこんな親子はいないでしょうが、飯野さんはきっとニタニタしながら描いたに違いありません。
あなたなら、どんな「おなら」をしますか。