うかつでした。
この絵本が2015年に刊行されたのに気がつきませんでした。
この絵本の前作にあたる『ふくしまからきた子』が出たのは原発事故から1年が経った2012年春でした。
そこでは原発事故をきっかけに母の故郷である広島に越してきたまやという少女と、広島で生まれただいじゅという少年の交流を通して、放射能の問題についてやさしく描かれていきます。
ヒロシマとフクシマ。いいえ、広島と福島。
60年以上の時を隔てながらも、くっきりと交叉する街。
そして、この作品から3年後、まやは久しぶりに福島に戻って、通っていた小学校にやってきます。
そこではかつての友達の卒業式が行われていました。
その様子を遠くから見ている、まや。
原発事故がなければ、友達はちりぢりになることもなかったでしょう。
楽しい思い出を共有できたでしょう。
でも、そうではありません。
そんな「ふくしまからきた子」たちが今だに避難先でいじめにあっているという暗いニュースがまだあります。
もし、そんないじわるをしている人がいたら、どうかこの『ふくしまからきた子』の2冊を読んでみてほしいと思います。
小学校の卒業式からそっと立ち去ろうとする、まや。
そんなまやを見つけるふくしまの子たち。
その子たちの輪に、大きな拍手をおくりたい。
この作品も松本春野さんの絵がいい。いわさきちひろの血が続いています。