全国でおやこ寄席を開催したり、子どもにもわかりやすい落語の本をいくつか書いていらっしゃる桂文我さんの文に、フンガくんシリーズの国松エリカさんが絵をつけられた、作品です。
船の上からおしっこをしようとした『たろきち』。船が揺れた拍子に財布を海に落としてしまいます。フラスコに入って海の中へ探しに行きますが、そこが抜けて、海の奥底へ沈んでゆきます。気が付くと、そこは竜宮城の前。浦島太郎と間違われて城の中へ迎えられることになりますが・・・。
落語を聴いているときのような、小気味の良いリズムと話の展開は、読んでいても心地よく感じます。主人公のたろきちが、関西弁でしゃべるのも、とても楽しいです。
ただ、ちょっとずるいことをするたろきちが、うまく逃げおおせてしまうのは、子どもに読んでいてどうなんだろう・・?と少し思いました。
でも、そこを国松エリカさんの可愛い絵でやさしく包んでいるのかもしれませんね。
落語のようで落語じゃない、普通のお話のようで普通のお話でない、いままでにあまり読んだことがない楽しさのある作品でした。