健康な動物たち。
たとえば、ネズミであったり、犬であったり、ブタであったり。
それらの動物を人の手によって、無理やり病気にしたりします。
必要ないのに手術をされたりします。
最終的には安楽死させ、解剖します。
こう聞くとどう思いますか?
動物たちがかわいそう!
なんでそんなひどいことをするんだ!
そう思うかもしれません。
でも、世界には病気で苦しんでいる人たちが沢山います。
治療法がなく、苦しんでいる人。
特効薬ができるのを、ただただ待つだけの人。
薬ができてもそれをそのまま使うことはできません。
手術技法、道具にしてもそうです。
理論を並べるだけでなく、実際に投与し、施術し、どのような副作用があるのか、リスクがあるのか、効果が得られるのか、確認しなければいけません。
そうしなければ、せっかくの治療薬も治療法も、安全かどうか確かめるのに莫大な時間がかかり、救える命も救えなくなる可能性があります。
この本に出てくるテルは、そのための実験に使われる動物たちの世話をしています。
とても辛い仕事です。
せっかくこの世に生まれたのに、辛く、苦しい思いをさせて、最終的には死に至る動物たちを育てるのですから。
名前を付け、食事を与え、清潔に保ち、愛情豊かに育てた動物たちを見送らなければいけないのです。
本書に書かれています。
最初は毎日泣いてばかりいたと。
でも、今は動物たちが快適に過ごせるように、できるだけ苦しまないように、一生懸命世話をしています。
忘れてはいけない、私たちがこうやって予防接種を行い、病気になったら薬を飲み、手術が行えるのは、沢山の動物たちの協力があったから。
そして、そのために苦しんだ彼女たちのような存在の事も。