道端や草むらに咲いている ひゅっと伸びた黄色い花は「のげし」という名前だと初めて知りました。そんな どこにでも咲いている、でも多くの人が気にも留めていない「のげし」が、愛情をこめて丁寧に美しく、描かれています。そして、おひさまが柔らかい光として描かれていて、春らしいほんわかとした暖かさが伝わってきました。
のげしは、動きまわれるカエルやアリや蝶々が羨ましくてたまりません。でも、いっぱいおひさまの光を吸い込んでいると・・・。
甲斐信枝さんの小さなものに心を寄せる優しさが伝わってきました。小さな子どもさんの柔らかい感受性にそっと寄り添うような絵本です。のげしが憧れるカエルが、のげしをずっと見守っているのも良い感じです。生き物同士も、心を寄せ合っているのですね。