あとがきによると、このお話はイディッシュ語の民謡「ぼくはすてきなコートを持っていた」を基にしたおはなしだそうです。
作者の事務・英るずわーすの作品ははじめて読みましたが、絵を担当されたバーバラ・マクリントックさんの作品はとても好きで、「ないしょのおともだち」と「シモンのおとしもの」は持っています。
繊細なタッチで、1つ1つの描写にいろいろな気遣いが見られる彼女の絵は見ごたえがありますし、見るたびに新たな発見があります。
今回は“おじいちゃん”が若い頃自分で作ったお気に入りのコートがだんだん小さく変化していくお話ですが、それに伴い、彼自身の容姿や家族、街の様子や服装などもその時代時代に合ったものに変化していくさまが丁寧に描かれています。
特に若者だった“おじいちゃん”が語り手である孫の息子(ひ孫)の相手をする頃には、すっかり“おじいちゃん”らしい“おじいちゃん”になっているから不思議です。
世代の移り変わり、時間の流れが読み手に自然に伝わってきます。
よい作品です。
小学校の高学年くらいから、中学生、高校生、そして、むかし若者だったおじいちゃんおばあちゃんにもおすすめです。