表紙には、絵本を開いてちらっと横を見ている男の子。
きっとその視線の先には、大好きなお母さんの姿があるのでしょう。
子どもは大抵読み聞かせが好きです。
中でも、大好きなお母さんに読んでもらうのが一番好き。
この絵本はそんな男の子の「絵本読んで」という可愛いお話だと思って読みました。
ところがところが・・・そんな単純なお話ではなかったのです。
毎日寝る前に絵本を読んでもらうというお友達を、うらやましく思うけんちゃん。
普通なら「絵本読んで」と言えば済む話なのですが、その一言がなかなか言えないのです。
読み聞かせしながら、思わず涙が出そうになって困りました。
けんちゃんは絵本が好きというより、大好きなお母さんに絵本を読んでもらいたいのです。
でもお母さんが好きだから、忙しいお母さんを困らせてはダメだという、けんちゃんの優しい気持ちが痛いほど分かりました。
でも、その気持ちはちゃんとお母さんに伝わっていました。
誕生日プレゼントに絵本を3冊、それを寝る時に読んであげるお母さん。
仕事で疲れて途中で眠ってしまったけれど、どんなにけんちゃんは嬉しかったことでしょう。本当に良かったね!
そして、そこでお話は終わらずに、けんちゃんはお母さんに読んであげるべく練習をします。
いつもお父さんの分まで一生懸命働いているお母さん。毎日疲れて、絵本も最後まで読み終わらず寝てしまうお母さん。そんなお母さんに僕が絵本を読んであげよう。
けんちゃんの優しい気持ちに涙が溢れそうになりました。
どうやったらこんな優しい真っ直ぐな心の子に育つのだろう?
きっと、どんなに忙しくても愚痴一つこぼさず、毎日明るい笑顔でいてくれるお母さんの愛情の力なんですね。
絵本の読み聞かせの大切さと、それよりもっと大切なものを、この絵本を通して教えてもらえました。