文章と絵が交互に配置された、不思議な絵本です。
山の中を走る最終列車の車両で、他の乗客が降りていって気づけばひとりぼっち、寂しい情景です。
そんなところで、いろんな動物たちが次第に乗りこんで来ました。
その動物たちの話がとても面白いのです。
黒地の文章ページの語りに夢中になると、絵のページに目が行きません。
文章を頭に入れて絵のページを開くと、何とも哀愁を帯びた色調で、動物たちが語り合っています。
動物たちの会話が、次第に人間に向けた怒りに変わっていき、緊張感が高まる中で、旅行者は不安を高めていきます。
そしてとうとう見つかってしまったタイミングと、動物たちが下車歯てドアの閉まるタイミングが絶妙です。
一人旅だからこその夢想に、心引かれる一冊です。
いわむらかずおさんの描く動物たちは、独特の世界を見せてくれます。