『A FINE DESSERT』が原題。
なんとも惹きつける題名と、スタイリッシュな絵にワクワクです。
ブラックベリーなどを使う、フルーツ・フールは、西欧文明最古のデザートの一つだそうです。
そのブラックベリー・フールは、生クリームを泡立て、つぶしたブラックベリーを混ぜて
冷やすシンプルなものですが、時代によって、道具や作り方が違うのですね。
1710年、1810年、1910年、2010年と300年のスパンで描くと興味深いです。
収穫の仕方、作業する道具や人々の違いが、くっきりと浮き上がってきます。
一番の違いは冷やし方でしょう。
そう、冷蔵庫がない時代はこんな風にしていたのですね。
夕食のシーンや、人々の服装、家具調度にも注目したいです。
さりげなく描かれた黒人の給仕も作者が伝えたかったことだと、あとがきにあります。
原題のシーンでは、男の子とお父さんがネットでレシピ検索、作るというのも今風です。
ともあれ、いつだって後片付けのお楽しみ(!)に、そのおいしさが凝縮されています。
レシピも添えられていますので、たまらないです。
やや長い歴史話ですが、繰り返しが楽しくて見どころがいっぱいです。
小学生くらいから大人まで楽しめると思います。