子どもの頃の思い出は甘酸っぱいものだが、同時に少々恐ろしい。
女優の室井滋さんの絵本『しげちゃん』の続編にあたるこの作品では、夏休みに入るしげちゃんの恐怖体験がおかしく描かれています。
夏休み目前のしげちゃんには心配なことが3つありました。
ひとつは身体検査。どうしてかというとしげちゃんは体にお守りふたつもぶらさげているから。
次は先生の家庭訪問。先生はお母さんにどんな小言をいうのだろう。
最後は成績表。
なんとしげちゃんはそこに「自立を!」なんて書かれてしまう。
しげちゃんは正真正銘のおばあちゃん子。
「自立」なんて書かれてしまったので、今夜から一人で寝ることになったが、暗い天井には薄気味悪いたくさんの目がこちらを見ているような。
あれが「じりつさん」?
そんなことはないのですが、自立の意味もわからないしげちゃんにはそういう怖いものに思えたのでしょう。
あまりに怖くて、やっぱりおばあちゃんの布団に逆戻り。
しげちゃんはおばあちゃんもしげちゃんが布団に戻ってくるのを楽しみにしていると思っていたのですが、本当はおばあちゃんもしげちゃんが「自立」しないと考えていました。
そこで知恵を働かせて、しげちゃんを遠ざけようとします。
最後は、しげちゃんだけでなく読んでいる方もびっくりするような恐怖体験が待っています。すぐに大笑いしてしまうような体験ではありますが。
それにしてもおばあちゃん子だったしげちゃんがうらやましくなります。
この作品も長谷川義史さんの絵が生き生きとしています。