よく知られている詩ですが、大きな字で何ページにも分けて書かれていることで、ひとことひとこと、ゆっくり味わって読むことができました。そして、見開き左に描かれている絵は味があり、時にユーモラスで、つい肩に力を入れて読みそうになる私の心と体を、ゆっくりと温かく ほぐしてくれるようでした。詩と絵のハーモニーが素適でした。
後ろの解説と手帖の写真によって、この詩のことをより深くすることができて良かったです。苦しい時期のものであること、そして、これは作品ではなく「祈り」であること、と書かれているのを読み、「雨ニモマケズ」の印象が「自らにより厳しくし、より高みをめざしている」というものから、「自分の弱さを思い、それでも より良きものになりたいと願っている」ものへと変わって感じられるようになりました。そういう意味で、これからは、この詩をより自分にひきつけて読めるようになると思います。