トンちゃんはネコ。シマシマのネコ。ゲンキなネコ。
だけどトンちゃんは足がひとつない。早く走れないからネズミには逃げられるし、なかよくなった女の子だってとられちゃう。
けれどそれはそれ、楽しく過ごしています。
指がない足がない、そういった本はたくさんありますが、ネコで来られるとこれまたリアルに考えられたりするから不思議です。単に我が家にネコがいるから?
前半はトンちゃんの生態が、デカデカと素晴らしい絵とともにズバリ一行で語られています。
どこにでもいるネコじゃない、それがどうしたの? と思った矢先に、足がない事を知らされるのです。
インパクトのあるデカ絵に大騒ぎだった子供たちも、一気にシーン。トンちゃんの不便していることが語られます。
でもそんな事はたいした事じゃないんだよ。
雨が降るのを眺めたり、ニボシを食べたり、自分のシッポを追いかけて回ったり……楽しいことはいっぱいあるさ。
そんなトンちゃんのおはなし。一度聞いたら忘れられなくなりました。後半があって、ラストのあの絵があってこそ際立つ絵本だと思います。
後半でまた明るくなった子供たち。読後いったい何を感じたのでしょうか。よかったなぁという声があちこちから聞こえてきました。