伝記絵本です。アメリカの奴隷制度についても描かれています。
実在した人物“ハリエット・パワーズ”は1837年、ジョージア州生まれ。大農園の奴隷の子どもとして生を受けました。
ハリエットは奴隷として生まれ育ちながらも、当時奴隷の女性たちの間で流行っていたキルトづくりの技を身につけ、南北戦争が終わり自由の時代になっても、貧しい生活の中でキルトづくりを続け、晩年彼女の作り上げるキルトの素晴らしさが認められたという内容でした。
ストーリーは南北戦争や当時のアメリカの社会のことなどにも触れるので、あまり低学年のお子さんたちにはお勧めできませんが、
とても読みやすく理解しやすい内容なので、5・6年生以上のお子さんたちにはぜひ、紹介したい1冊です。
特にイラストを担当したヴァネッサ・ブラントリー=ニュートンの個性的で豊かな表現力のある描き方は、ハリエットの作ったキルトの再現を含めても言うことなく素晴らしいもので、どのページも見ごたえがありました。
わたしは特に、ハリエットが自分の子どもたちのために夜なべして針仕事しているシーンの絵が好きです。
この時、子どもたちのベッドカバーのキルトも素敵です。