この絵本の主人公は、84羽のペンギンたちです。
ペンギンたちは住み慣れたおうちから出発し、より良いおうちを探して旅に出ることにしました。
なぜなら、最近地球が暖かくなってきたために、自分たちの氷のおうちが溶けて小さくなってしまったからです。
でも、旅は辛くて厳しいものでした。
南の方にきれいな海があるとの噂を信じて行ってみたら、そこは真っ暗で前が見えないほどに汚れていました。
東の方にきれいな原っぱがあるとの噂を信じて行ってみたら、そこは真っ黒い煙に汚されていました。
住みやすそうな場所は、どこに行ってもありませんでした。
それならいっそ、月に行ってみたらどうかしら?
月に行ったペンギンたちが見たものは……。
人間の欲望はとどまることを知らず、私たちは環境破壊を繰り返してきました。
その環境破壊を食い止めるため京都議定書が結ばれましたが、かんばしい結果は出ていません。
そこから生まれた危機感を、子どもたちにも知ってもらいたい。
その願いからこの絵本は生まれ、豊かな色彩と優しい言葉を通して、無垢な子どもたちに訴えかけているのだと思います。