「1人称童話」って何だろう?
昔話というと第三者目線で淡々と語られているのが普通ですが、これは桃太郎自身が語る桃太郎のお話。
だからこそ、桃太郎の心情がしっかりと描かれています。
桃の中にいた時の気持ち、生まれた瞬間や抱っこされた時の気持ち・・
そして、何故鬼退治に行こうと決めたのか。
そんな様々な感情が描かれているので共感しやすく、まるで自分が桃太郎になった気持ちで読むことが出来ます。
桃太郎の顔が全く描かれていないので、まさに自分自身が主人公。
途中、犬・サル・キジが出てきますが、家来としてではなく、桃太郎を助けてくれる仲間として描かれているのも、現代の子どもたちにとって親しみやすいと思いました。
鬼のイラストは迫力満点。
そして桃太郎の感情が「鬼がこわいと思いました」と描かれている。
単なる勇敢なヒーローではなく、素直に「怖い」と感じる等身大の桃太郎に親しみがわきます。
個人的に一番好きなのが、京で料理を勧められても、それを断って帰り道を急ぐ場面。
大好きなおじいさん、おばあさんへの愛情がひしひしと伝わってきます。
最後には、色々な登場人物の気持ちを想像してみるページも設けられていて、一人一人違った桃太郎のお話が広がりそうです。
『シンデレラ』や『浦島太郎』といった続編も是非読んでみたいと思いました。