「きつねの背後で後ろを向いている白いものは何?」と思って読み始めました。読み終わり、あぁ、あの白いものは「あれ」だったのか・・・と得心しました。
自然、あるがままということは、厳しく感じることもあるけれど、「死」でさえも、実は「恵み」でもあるということ、「死」があるからこそ、「生」が輝くということを つくづくと感じました。そして、きつねが死を受け入れて死神と抱き合い一つになる場面は、感動的ですらありました。重く難しいテーマが、絵本という形で受けとめられやすく描かれています。愛する人の死や、理不尽な死など、受け入れがたい死は もちろんありますが、基本的に、「死」は忌むべきもや、敵ではなく、「生」の続き、自然なこと という考えに魅かれるものがありました。
今を生き、未来に向かって成長し続けている小さな子どもさんには難しいテーマであり、あえて読む必要は感じませんが、もし機会があって読んで、こんな考え方もあるんだ と心の隅に残ったら、それはそれで良いことだと思いました。年を重ね、「老い」や「死」を不安に思っている世代には積極的におすすめしたいです。
カトリーン・シェーラーさんの絵は、タッチも構図も好きです。魔法をかける場面はユーモラスでした。