おはなはんは、「えらいハイカラなきつね」でした。べっぴんさんに化け、パラソルをひらひらさせて歩き回るのが得意でした。村の人たちはみんな、「あんなまねをしたら、あかんで。わらいもんになるだけや」と言いましたが、1人だけ、「いや、これからの よのなかは、ハイカラでないと あかんのや」と言う「おっさん」がいて、娘のおたみをハイカラにしてくれるよう頼みに来ました。おはなはんは、どんなことを教えてくれるのでしょう?
おはなはんと村の人々との温かい交流は、同じ作者の「ごろはちだいみょうじん」にも似ていて、きつねやたぬきが今よりももっともっと人間社会の中に溶け込んでいた時代を思い起こさせます。ただ、娘にとっては聞きなれない関西弁が難しく、「ごろはちだいみょうじん」も、娘の心を打つまでには至らなかったのですが、この絵本を読み終えた後で、「難しくてわからなかった?」と聞いてみると、「うん。でも、このお話好き」と、言ってくれました。
【事務局注:このレビューは、「きつねのおはなはん」こどものとも 1978年3月号 に寄せられたものです。】