ちいさなだるまちゃんは、お友達のてんぐちゃんが持っているうちわや下駄などがうらやましくて、欲しくてたまりません。おうちへ帰ってお父さんのだるまどんにそう言うと、だるまどんは家中をひっくり返して、何とかだるまちゃんの要望に応えてあげようと頑張ります。その頑張りがとんちんかんでおかしくて、なんと言っても「てんぐちゃんのような赤い鼻が欲しい」に、きれいな花を用意してしまうところで最高潮に盛り上がります。ここで子供も大笑い!でも、だるまどんは本当に真剣なんですよね。
親はついつい、子供の言うことを何でも聞いてしまいがちですが、それは日頃子供と真剣に向き合う時間の少なさの後ろめたさがあるようにも思います。とりあえず、言うことを聞いていれば間違いないだろう、みたいな。でも、それは本当は子供のためでも何でもない、親の自己満足でしかないんだ、ということを気付かせてくれます。子供はそう簡単に侮れる存在ではありません。その証拠に、だるまどんが真剣ながらもとんちんかんな対応をするたびに、だるまちゃんは自分でいろいろ工夫して、自分が欲しいと思ったものをつくって行きます。だるまどんの頑張りは本当にいじらしいばかりで、わが身を反省しつつ、だるまちゃんのバイタリティーに感動します。
子供も、欲しいものは買ってもらうばかりじゃなくて、だるまちゃんみたいにつくらなくっちゃね、と言ってくれるようになりました。