【あらすじ】
だるまのこどもと、てんぐのこどもが一緒に遊んでいます。
だるまちゃんは、てんぐちゃんの持っているカッコいいうちわが欲しくなって、親にねだります。家にはたくさんのうちわがあるけど、てんぐちゃんのうちわみたいなものはありません。そこでだるまちゃんは、工夫して、うちわを手に入れました。
こんどはてんぐちゃんのかぶっている帽子が欲しくなり…
【感想】
昔からある絵本だけど、きちんと読んでいなかったので、あらためて読んでみました。
子どものときよりも、もっと素敵さがわかって、楽しめました。
昭和の前半くらいの、私のおじいさんの世代の子ども時代を連想させる、温かい素朴な雰囲気がステキです。
だるまちゃんは、なんでもてんぐちゃんのものを欲しがるから、実はとってもワガママな子なのですが、おとうさんのだるまどんは、優しく対応してくれています。全然怒らないし、文句も言わない。
うちわが欲しいとか、帽子が欲しいとかで、家じゅうのうちわや帽子を出してくれるけど、結局、だるまちゃんの欲しいものがなくて、本人が気に入るようなものを本人が工夫して手に入れてしまう。こういう感覚は、自分もそうでしたから、よくわかります。「あれ」じゃなければイヤなのです。同じものは手に入らないとわかっているけど、駄々をこねてしつこく求めてしまう…そんな子供の時代の感覚を、作者はよくわかっていて、覚えているのでしょうね。
絵が素朴な感じなのに、カラフルで素敵で、なんだか時代を超えたお洒落な感じ。昔風なのに、新鮮な感じもあって、やはりこの人は天才だと思いました。
他のお話もぜひ、読んでみたくなりました。