だるまちゃんは、お友だちのてんぐちゃんの持っているものが何でも欲しくなります。
「ほしいよ〜。ほしいよ〜」と、ぐずるだるまちゃん。だるまどん(父)は自分の子供の為に、一生懸命、いろいろなんものをかき集めて探してくれます。
幼い頃読んだ私の目に、そんなだるまどんの姿が、とってもうらやましかった。当時の父親たちはたいていの人が、働いて家族を養うのが父の仕事、子供と触れ合うのは二の次って、人が多かったんです。
そんなだるまどんの努力も空しく、てんぐちゃんみたいな帽子も、てんぐちゃんみたいなうちわも、てんぐちゃんみたいな靴(下駄)も、その中にはありませんでした。
結局、だるまちゃんは自分のひらめきで、てんぐちゃんと同じようなものを用意します。
みそ汁(だと思います)茶わんの帽子、やつでの葉っぱのうちわ、妹のおままごとに使うまな板を切った下駄。
この切り返しのすごさ!ただのだだっ子ではないですね。
そして最後に欲しがったのは、てんぐちゃんみたいな「はな」。お約束みたいに、「鼻」と「花」を取り違えただるまどんが用意した花、花、花。そのページはとても綺麗でした。
その頃タイミングよくお母さんたちはお餅をついていて、誰が考えたのか、ページをめくるとだるまちゃんの顔にはお餅で出来たなが〜い鼻が。
見ていて決して飽きさせないお話です。帽子なら帽子、靴なら靴の、その量と種類を見ているだけでも楽しい本です。