原爆の絵本です。
ちょっといろいろトンデモ設定があるんですが
作者の言おうとしていることに胸をうたれました。
宇宙船(タイムマシーン設定)から、
平和記念公園での真夏の式典を見下ろすところからお話は始まります。
タイトルにあるエンコウさんとは
被爆橋梁でもある猿猴橋が疑似化したもので
宇宙船を操り、平和記念公園から被爆前の広島の姿を上空から見下ろす案内役です。
親しまれていた猿猴橋から、金属供出で、美しい飾りがはぎとられてしまったりと
戦争が日常に浸食してくる様は、胸が苦しくなります。
原爆が落ちた後のシーンは、かなりリアルで
でもその後に、対比するように、復興した現在の広島の様子が描かれます。
「広島と長崎を忘れないで」という
「平和を願う」などというきれいな言葉ではないセリフが
とても沁みました。