「このお話知ってるよ」と言った息子も、語り口調とお猿の仕草の表現には黙ってくれました。
昔話はストーリーだけではなく、その表現方法で、何度読んでも楽しめる味わい、耳に心地良い響きが保たれるのだと思います。
日常語ではない、方言口調、オノマトペ、形容語のオリジナリティ・非日常性…、大川悦生さんの語りはしみじみとしていて、とても味わいがあります。
梅田俊作さんも昔話を描かせたら、味わいたっぷり、楽しみたっぷりで魅力的です。
貧しくてお米のおにぎりも食べられない生活のおじいさん。
そばこもちをお弁当にもって働きに出ました。
そばこが顔についたまま寝入ってしまったら、お地蔵様に見えたのでしょうか。
おさるにかつがれた道中もユーモアたっぷり。
小判を持ち帰ったおじいさんをねたんで、隣のばあさまは自分の家でもじいさまの尻を叩いて、小判にありつこうとします。
昔話ならではの定番の展開。
さすがに、子どもは面白おかしく楽しむだけではなく、「隣のじいさんんは悪くない」などと意見をのたまいました。
損得、善悪、あまりに単純な見方ではなく、このように考えられるようになれば、独りよがりもなくなってくるのでしょうか。