「さむがりやのゆきだるま」
そう、雪だるまなのに寒がり!
鍋焼きうどんを食べ、お酒を飲み、お風呂に浸かり、布団に入り・・・
でも体が雪でできているから、どんなにあっためても、寒い。
そして、どんどんと溶けていき、
それでも最後まで「さむい、さむ・・・」とつぶやき、
最後はお布団の小さなしみに。
そのしみもお日様に干したらなくなってしまう。
いわゆる「かわいい」オチはなし。
「ああ〜いいお話だったな〜」と感動するものでもない。
しかし、頭の中には作者が問いかけるものが残る。
私にとってそれは「矛盾を抱えて存在する意義」。
人間、さまざまな矛盾を抱えて生きていて
できることなら、その矛盾を無くしたいと思うけれど、
その矛盾を無くすことは、その人間ではなくなることなのか、と。
うーん、難しい。
作者の「おとうさんがいっぱい」も、存在の不確かさを描いたものでしたが、
このようなテーマの絵本、児童書は私はほかに見たことがありません。