昔懐かしい紙芝居のような匂いのする本です。つまり、昭和の鄙びた匂いがするような絵本でした。
芥川龍之介の作品ということで、興味半分、半分はテーマ性は感じても楽しめないかもしれないなという気持ちで読みました。
ところが、テーマ性は感じても、十分に面白い本でした。
大人だけでなく、小学校4年生位からなら子どもでも十分に楽しめる本でした。
舞台は日本なのに、何故か異国情緒が漂っているような気がします。
主人公は、友人に魔術を習おうとします。
魔術を習うのに第一に必要なのは、欲を捨てることと言われ、それも克服して、魔術が使えるようになるのですが・・・。
人間が必死で自分の欲と戦い、ちょっとのことで保ってきた緊張の糸が切れるか切れないか、という緊迫した空気が流れています。
『蜘蛛の糸』で主人公が叫んだ瞬間に、糸が切れてしまう様に、この作品でも、人間の心に一瞬さす悪魔のささやきを決して逃しません。
読み応えのある作品でした。
6年生の教室で読みたいのですが、文章量が長いのがちょっと悩みです。
内容自体は、文章量の長さを払拭するものなのですけれど。