『くまのコールテンくん』でおなじみのドン・フリーマンさんが、亡
くなってから見つかった幻の絵本です。「40年の時をこえて…」とい
う、帯に惹かれて手にとりました。
カラフルな絵本が多い中、黒と赤のみで描かれた世界がすてきでし
た。筆致はなんでしょう?ドライポイントのような、とても味がありま
す。
はいいろリスのお母さんは、子リスのアールにいいました。
「ねえ、アール。そろそろおまえも、外にでて、じぶんの手でどんぐり
を見つけることを、おぼえるときだよ」
でも、どこにいけば、ドングリが手にはいるのでしょう。
自立のおはなしです。自然界で生きるためお母さんリスは、あえて厳
しい導きをします。とってもかわいがってくれる人間の女の子のジルの
好意によろこんでいるアールに、「せかい一だめなリスになりたいのか
い、おまえは」ときつい一言。ドングリをもとめて、アールの愛らしい
冒険がはじまります。
ドングリを持ち帰ったアールにかけたたお母さんリスのことば。
ジルの家へアールが届けたもの。
最後のページの「アールは、のじぶんのためのドングリを、ひとつだ
けとりました。」の一行は、私たち人間へのメッセージだと思いまし
た。
7歳の息子によみました。はじめ「このお母さん、きびしくない?」
といっていましたが、お母さんが、アールのとってきたドングリを食べ
るシーンのひとことで、「お母さんはやっぱりやさしい。」といってい
ました。
私たち人間の子育てについて、今一度考えさせられる一冊でした。