「島ひきおに」「こんこんさまにさしあげそうろう」
などをてがける梶山俊夫さんの絵が、昔話の世界に引き込んでくれます。
『あんけらこんけら』とは、
おっちょこよいの怠け者で、どうにもこうにもしょうのないやつの事だそうです。
まさに、さんたろうは『あんけらこんけら』な性格です。
薬師寺のお堂の中で昼寝をしながらぼんやりと聞いた、
子ども達が歌う遊び歌をヒントに、
西山の山坊主に化けて、村人を脅かそうとして、
かえって自分が恐い思いをするというお話。
初めて、夜どうしした仕事が、
村人を驚かすための準備だなんて、飽きれるばかりですね。
遊び歌をまねて、サトイモの葉っぱを抜き取って顔に張り付けたり、
カラスウリを身体に巻きつけたりするさんたろうは、
本当にばかばかしくて笑ってしまいます。
おまけに、村人たちを脅かすどころか、
赤松の木の天辺で眠ってしまうのだから、憎めないキャラクターといえるでしょう。
遊び歌にのっとって進行する展開は、楽しくてユニークな感覚です。