おぎゃあと生まれたその日から、こんなメモをお父さんが書いていたと知ったら、「パパったら気が早いよ!」と息子くんは笑ってしまうかもしれません。この本を読んだ7歳の息子も「おもしろいなぁ。赤ちゃんが生まれたのがよほど嬉しかったんだね」と笑うので、「あなたのお父さんもそうだったわよ」と彼の生まれた日のことを話して聞かせると、とても幸せそうにニコニコしていました。
私自身、初めての出産の時は、人間の形をした子がお腹から出てきたことが不思議で、「やだ私ホントに人間を産んでしまったのかしら!」と半信半疑でした。というわけで、奥さんのお腹から出てきた赤ちゃんと遭遇する作者オリバーさん(お父さん)の立場を想像すると、確かに「宇宙のここです」から説明したくなる気持ちはとてもよくわかります(笑)
この愛おしい命を、大切に育てよう。一緒にあんなこともこんなことも楽しもう。いろいろと思い描くことが溢れてきますが、やはり一番考えるのは「自分がいなくなっても生きて幸せになれる子に育てたい」ということです。
オリバーさんが「ぼくがそばにいなくても」と書いているシーンは、うっかり涙ぐんでしまいましたが、この本を何度か読んでいるうちに、「そうだよ、いろんな人を頼ったらいいし、自分が助けられる人を助けたらいい」という視点にも気付けました。親もまた、この地球のみんなと長い長い時間をつむぐ一部なのだと思えてきて、「ああ、私はひとりではないのだなぁ」と何だか守られているようなホッとするような、いつの間にかそんな気持ちに浸っていました。
とても素敵な一冊です。