絵は、アツコ・モロズミさん。
この作品が、2作目ということですが、最初1993年にイギリスで発刊されています。
調べたら、彼女は1955年生まれで、広島大学、筑波大学大学院を卒業後、イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アーツで博物学のイラストレーションを修め、イギリス在住のようです。
訳は、「ふしぎなたけのこ」等で知られる松野正子さん。
昨年末に亡くなられておりますが、素晴らしい作品を邦訳されたものだと思います。
原題は、Why the reindeer were chosen?
何故、トナカイは選ばれたのか?というのが直訳です。
物語は、ソリがなく、サンタクロースが妖精のエルウィンとプレゼントを歩いて運んでいたシーンから始まります。
サンタクロースは、これ以上配れないと、エルウィンに告げるのです。
そこで、エルウィンは、仲間と秘密裏にソリを製作して、サンタクロースにプレゼントします。
問題はこれから。
誰がソリを曳くかです。
この絵本がユニークなのは、それを公募したこと。
世界中の動物達がやってきては、ソリを曳くのですが、どれも上手くいきません。
ゾウ、ワニ、ハスキー犬、果てはカンガルー、猪に至るまで、どれも大笑いの展開です。
ゾウが屋根に降り立つや否や屋根が潰れるシーンや、跳ねるカンガルーの乗り心地の悪さは、想像しただけで楽しさ満点。
アイデアの勝利と言えそうです。
そこに登場したのが、トナカイ。
谷に落ちた友人を救いに行くために編成されたのですが、やはり、ソリにトナカイは似合うと再認識出来ました。
ストーリーの面白さは言うまでもありまえんが、アツコ・モロズミさんの絵がそれを十二分に惹き立てています。
北国の暮らしぶりやその季節感は言うに及ばず、表裏表紙一面に描かれたソリの絵は、見事としか言いようのないものだと思います。
クリスマスにオススメの作品が、また1つ増えました。