「おむすびころりん」などの題名でおなじみの日本の代表的な昔話です。
おじいさんが山に薪(まき)とりに行き、昼時、おむすびを食べようとすると、一匹のねずみが穴から顔を出しました。お前も食べるか、と、おじいさんがおむすびを一つ穴に落としてやったところ、またねずみが顔を出して、今度はおらたちがもちをつくから食べにこいや、とおじいさんを誘いました。おじいさんがねずみのしっぽにつかまって目をつぶると…。
梶山さんの絵はよく見かけますが、この絵本では文章(再話)も担当しています。薪を「がっきりがっきり」切ったり、穴が「ぺっかりと」暗くなったり、土の中を「もくもく」掘ったり、響きの楽しい言葉が随所に出てきます。書名の「てんぱたんてんぱたん」は、ねずみのもちつき歌に出てくる文句です。正直者は幸せになり、欲張り者はバチが当たるという、昔話に共通するストーリー展開は、何度聞いても安心できるものです。
類話はいくつもあるようですが、(絵本ではないですが)『おはなしのろうそく3』(東京こども図書館・編)に載っている『ねずみじょうど』では、「こうたればあさん」ではなく「目くされじいさん」が出てきます。こちらも楽しいです。