モーパーゴの作品は、片端から読破してきた私ですが、この作品はヒューマニズムに包まれていながら、疑問の多い作品で戸惑いを覚えました。
ドイツ兵ブレンナーはどうして、発達障害児のロレンゾを擁護し、ジプシーのケジア家族の力になろうとしたのでしょうか。しかも、間もなくアメリカ軍がやってきて戦争が終わるなどと敵国贔屓ができるのでしょうか。
障害者、ユダヤ人は駆除すべきだと、ナチスは狂気に満ちた行為を行い続けたのに。しかも、彼は指導的立場にいるのです。
明らかに自国の政策、思想に反逆しているこの男を中心に、物語は大きくかじ取りされます。
半信半疑ではありながら、モーパーゴは、読者を感動の渦に巻き込みます。
フラミンゴの群れが生息するという南仏の大自然を舞台にした、信じられない物語ではありました。