たいていの人は、綺麗だったり恰好良かったりする人に憧れ、自分もそうなりたいと思うでしょう。それはきっと文字が生まれる前、言葉らしい言葉を発する前の遥かな昔からあったのでしょう。
確かに、見栄えが良いということは良いことなのでしょう。でもだからといって、見栄えが悪いことが悪いことではないはずです。大事なのは心のはずです。
この絵本の主人公は、ナスのナッスです。
始めはなんの傷も負っていなかったナッスが、ある出来事で体に傷を負います。
体に傷のある野菜は捉えられて処分されてしまう。ナッスは逃げ回ります。
でも逃げ回る中で傷のある野菜たちと出会い、大事なのは傷があるかどうかではなく、心がこもっているかどうかなんだということに気付きます。
自分や他人の見た目をとても重要視する今の世の中で、子どもたちがそれに染まりませんように。
この絵本には、そんな願いが込められているように感じます。