私は絵本講師という資格を持っています。
そこの「絵本フォーラム」という機関紙に、子どもと絵本にまつわる体験談を投稿したことがあるのですが、
謝礼として、図書カードとこの絵本が送られてきました。
のらさんは、5ひきの子猫を産みます。
最初は、空き地で一緒に暮らしていたけれど、
子猫たちが大きくなると、のらさんは「みんなのおうちをさがしましょう」と言い出します。
「お名前をつけてもらうってことは、そのおうちの子になるってことなのよ」
なんだか、のらさんのせりふには説得力があります。
子猫たちは、おばあさんや美容院など、それぞれ別々のところにもらわれていきます。
みんな、子猫たちを大切にしてくれる、優しい飼い主さんで、
のらさんもときどき様子を見に行くことができ、とても幸せそうです。
いい人にもらってもらえて、よかったね・・・素直にそう思えます。
でも、親と子が離れて暮らすのって、人間に置き換えて考えると、ちょっと切ない。
のらさんは、おうちのないのら猫だから、子猫たちみんなを養っていくのは無理だったのでしょうね。
現実には、のら猫のもらい手は、なかなか見つからないものですよね。
それだけに、子猫を大切にしてくれる人の優しさや温かさが心に染みます。
子どもは、質問をするでもなく、感想を言うでもなく、じっとお話に聞き入っています。
絵本の感想を聞くのはタブーだというので、あえてこちらからは触れませんが、
親からすると、子どもを手放すというようなナイーブなお話なだけに、
息子がどう思っているのか・・・ちょっと気になります。