タイトルの上に「こんなアンデルセン知ってた?」とついているように、知られざるアンデルセンの作品です。
文章を書いた赤木かん子さんのところに、この本探してくださいと探偵依頼のくることの非常に多かったお話だそうです。
小さめのサイズで、デザイン的にとても綺麗な本なので、手にするだけで嬉しくなってしまいます。
各ページを飾っているのは、絵ではなく、漫画家の高野文子さんによるペーパークラフトです。
我が家の次男は、工作が大好きなので、このペーパークラフトに興味津々でした。
もう、お話の内容はそっちのけで、目玉の大きい犬はどうやって作っているのか、兵隊さんはどうやって立っているのかなど、いちいちチェックしては楽しんでいました。
内容については、小道具的には、やたら目の大きい3匹の犬(どのくらい大きいかというと、茶椀くらい、水車くらい、塔くらいというダイナミックな大きさなのです)や、魔法使い、犬がお金を守っている木の洞、魔法使いの欲しがる火打ち箱、美しいお姫さまと、ドキドキワクワクするものが目白押しです。
冒険あり、不思議ありで、どことなく、グリム童話やアラビアンナイトなど、各種昔話の雰囲気も感じられますし、アンデルセンの他作品『空とぶトランク』にもちょっと似ています。
けれど、お話自体には、わりと淡々とした印象を受けました。
多分、主人公に喜怒哀楽があまり感じられないからでしょう。
そのため、主人公に感情移入できないので、結末もめでたいのかなんだか、どう思ったら良いのかちょっと戸惑ってしまいました。