大切な人を失って、涙を止められなかったり、悲しみの底に沈んでしまったり。
誰かが死ぬということは、そういうことと戦うことなんだろうと思う。
じゃあずっと悲しみにくれていればいいかって言うと、それも違くて。
この物語では、大好きなアナグマさんの思い出を語ることで、自分達の心の中にはアナグマさんが居続けているということに、気が付きます。
身についた教えは決して消えることなく、自分の中に溶け込んでいる。
それはまぎれもない真実で、アナグマさんが生きていたという証にもなるのです。
これも一つの死の乗り越え方なのかもしれないな。と思いました。
しかしアナグマさんの言っていた、死に向かうときの表現には驚きました。
目の前にはどこまでも続く長い長いトンネル。
彼は足が弱くなっていたのに、力強く杖がなくても走ることが出来る。
進めば進むほど早く走れ、しまいには身体が浮き上がるような自由さも感じる。
当然死んだことはないのですが、不思議と理解できてしまいました。
実際に死ぬときはこんな感じなのかな。
「長いトンネル」。やっぱり<死>って難しいテーマですね・・・
ここまでいくと哲学の世界ですから。
小さい子にはリアルではないお話かもしれないですね。
でもこういう考え方があるってことを、なんとなくでも理解してくれたら、この絵本に出会えた価値は十分あるでしょう☆