娘が選んで借りてきた1冊ですが、久々に「骨太」の絵本に出会えたような感動を味わいました。とても地味な表紙で、ぱらぱらっとめくった感じも、一昔前の絵本、という印象しか得られなかったのですが、さすがは「かがくのとも傑作集」。1ページ1ページが驚きと発見の宝庫でした。
ページごとに、それぞれの動物のドラマがあって、その一匹一頭に誠心誠意を尽くして対処する獣医さん。
「どうぶつのおいしゃさんは、めいしゃにも はいしゃにもなる。けがのてあてもすれば、びょうきもなおす。ぞうのような おおきいものから ことりのような ちいさいものまで・・・」
本当にそうなんですよね。どこが痛いとも言えない動物を、または人を襲う危険のある動物を、命がけで助けてあげるのですから、人間のお医者さん以上に大変な仕事ですよね。
動物好きの娘も、怪我をした動物や病気の動物を見るのも、どんな処置や治療をするのかを見るのも、多分初めてのこと。(愛犬がおなかをこわしたり、かすり傷をつくったり、予防接種のために獣医さんに行ったり、ということはありますが)実際に診察室や、動物園の檻の中で、どのような治療が行われているのかは、まったく未知の世界です。
なので、1つ1つのケースで、驚きや疑問、それにショックもあったようです。説明を加えながら、じっくりいっしょに考え、1つずつ納得し、そして、読み終えたときには、新しい知識を身につけて自信に輝いたような瞳で、「もう1回読みたい!」と言った娘の言葉が、とても頼もしく響きました。
それにしても、私自身、知らないこともいっぱいでした。サイも、うおのめができること。キツネも、結膜炎になること。ワニも、歯槽膿漏になること、などなど。
娘は、ちょうど歯が何本も生え変わる時期なので、かばの牙を切るシーンに、「痛くない?」と、心配していました。
なんと言っても1番のびっくりは、ぞうの便秘! 娘も、少し前に、ひどい便秘をして、浣腸をした経験があるので、ぞうの苦しみは、わが身のことのように受け止めている様子でしたが、体が大きいだけに、マッサージも浣腸も、そして、「その後」も、半端なすごさではありません!娘と顔を見合わせて、びっくり仰天。
もう1つのびっくりは、ワニの歯槽膿漏の手術。そのために獣医さんが取った処置は・・・?
この絵もまた強烈です。ワニさん、情けないやら、痛々しいやら・・・でも、思わず笑ってしまう名(珍)場面。
「どうぶつえんのおいしゃさんは、こんなふうに じぶんたちで かんがえて いろいろと くふうをする。」
その努力とアイディアの独創性に敬意を表したい気持ちです。
3歳くらいまでは、1冊の本を何十回も何百回も繰り返し読んでいた娘ですが、最近では、お話の理解度も深まり、ストーリーやその展開を楽しむといった読み方に変わってきていたので、どんなに気に入った本でも、何日も続けて読む、ということは少なくなってきました。そんな中で、この絵本だけは、購入後も毎晩、毎晩必ず読み続けて、2週間になろうとしています。娘にとって、本当に特別な出会いになったこの絵本。私にとっても思い出深い1冊になりそうです。